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2023.06.08
CASESTUDY

半導体封止材とは?役割や用途、品質管理について解説

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半導体封止材とは?半導体封止材の種類(エポキシ樹脂、シリコーン、ウレタンなど)や用途、役割、品質管理に欠かせない硬化時間の測定方法などを解説します。

半導体封止材とは

半導体封止材とは、半導体を熱、湿気、光、物理的衝撃などの外的要因から保護する材料です。また、液体や気体などの物質が半導体に入り込まないようにする役割があります。

半導体封止材の種類

半導体封止材にはさまざまな種類があります。最も一般的なものは熱硬化性樹脂のエポキシです。その他シリコーン、ウレタン、充填剤、硬化剤などで構成されています。

熱硬化性樹脂とは

熱を加えると硬化する性質を持つ樹脂のことです。

熱硬化性樹脂の種類にはエポキシ樹脂の他、シリコーン、ウレタン、フェノールなどがあります。

加熱によって硬化するため一度硬化してしまうと再び加熱しても軟化溶融しない性質があり、強度・耐熱性に優れており半導体封止材として適しています。

 

半導体封止材に使用されている熱硬化性樹脂

半導体封止材には主に以下の熱硬化性樹脂が使用されています。それぞれメリットとデメリットがあるため、用途によって材料を選択する必要があります。

・エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は耐久性や耐水性、電気特性、接着力に優れているという特徴があり、半導体封止材として最も一般的に使用されています。

・シリコーン樹脂

優れた耐熱性、耐寒性、電気絶縁性、化学的安定性を備えています。そのため、高温環境で使用される半導体チップや、高電圧や高電流を扱うパワー半導体などの封止材に使用されています。

・ウレタン樹脂

エポキシ樹脂やシリコーン樹脂と比較して柔軟性があり、湿気に強いという特性があります。そのため、湿度の高い環境で使用される半導体チップなどの封止材として適しています。耐熱性はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂と比較して劣ります。

半導体封止材の役割と用途

半導体封止材は半導体チップを保護するために重要な役割を果たしており、主に以下の分野で半導体封止材が使用されています。

・車載用、EV…バッテリー管理システム、電気モーター、インバーター、安全システムなど

・携帯電話、スマートフォン…CPU、メモリー、ディスプレイ、カメラなど

・家電製品…洗濯機、冷蔵庫、電子レンジなど

・医療機器…MRI装置、CT装置、心電計など

半導体封止材が使用される工程

半導体の製造工程には、設計した電子回路をシリコンウエーハの表面に作る「前工程」と、ウエーハをチップに切り出し組み合立てる「後工程」があり、半導体封止材は後工程のモールディングで使用します。

半導体封止材が使用される後工程モールディングの図

半導体製造の後工程

1.ダイシング ウエーハをブレードで切断し、ICチップをひとつひとつ切り出す

2.ワイヤーボンディング リードフレームとICチップをワイヤーでつなぐ

3.モールディング ICチップをほこりや湿気などから保護するため、半導体封止材(樹脂)をパッケージする

4.選別・検査 チップごとに試験を行い、不良品を取り除く

 

ICチップは繊細なため、僅かな傷やホコリの付着が動作不良の原因になります。こうしたトラブルを回避するため、半導体封止材用の樹脂をICチップ周辺に充填して硬化させることで、ICチップを外部からの衝撃や湿気から保護し性能を維持します。

半導体封止材の品質管理

半導体封止材を使用する製造工程では、半導体封止材がICチップと十分に密着していること、充填エリアに気泡を残さないことなどが品質管理として求められます。

そのためには、充填条件の選定や半導体封止材の硬化時間を正確に調べることが必要です。また、硬化時間を調べることは、物質の耐久性や製品の一貫性をチェックするためにも必要です。

ゲルタイム測定装置を使用することで、簡単に半導体封止材の硬化時間を調べることができます。

半導体封止材の研究開発に欠かせない硬化時間の測定

半導体封止材の研究開発は、半導体産業の成長に欠かせない要素です。半導体封止材の研究開発が進むことで、ICの性能向上、小型化、低コスト化が実現されます。

ICの性能を最大限に引き出すためには、半導体封止材の硬化時間が適切に設定されていることが重要です。半導体封止材の硬化時間は、樹脂の種類や材料の配合比、塗布方法などによって異なります。

 

ゲルタイム測定装置を使用して、材料の配合度合に関する挙動や、温度により反応速度がどのように変化するかを可視化することができます。

【事例】ゲルタイム測定装置を使用した半導体封止材の硬化時間測定

ゲルタイム測定装置「まどか」を使用して、半導体封止材の硬化時間を測定しました。

▼ゲルタイム測定装置を使用した半導体封止材の測定動画はこちら▼

半導体封止材 粉末(液体も測定可能)

投入量 約0.3g

熱板温度 175℃

 

測定の流れ

①熱板の温度を175℃にセット

②半導体封止材約0.3gを熱板に投入

③樹脂の硬化が進むと、トルクが上昇する トルクの変化がグラフにより確認できます

④トルク判定値(閾値)に達した時間をゲルタイムとします

※樹脂ごとにトルク判定値を設定

⑤ゲルタイムの判定範囲を設定すれば、測定終了後に自動で合否判定ができます。

 

測定結果

予め設定したゲルタイムの範囲内に入っており、合否判定もOKの結果となりました。

ゲルタイム測定装置で半導体封止材を測定した測定結果

ゲルタイム測定装置「まどか」で硬化時間の測定を自動化

ゲルタイム測定装置まどかの写真

ゲルタイム測定の多くは人の手による測定です。人の手で測定を行うと測定者により判断基準が異なるため、測定誤差が生まれる場合があります。ゲルタイム測定装置「まどか」は自動測定のため、誰でも同じ結果が得られます。

また、品質管理業務の効率化を図ることが可能です。

 

熟練技術の不要

登録した測定条件を選択するだけで、再現良く同じ結果が得られます。

測定基準の統一

自動測定のため、工場間、取引先間と同じ条件で運用することができます。

品質管理の効率化

測定データは自動保存され、統計的品質管理ソフトを使用して必要な期間分の管理図、パレート図、ヒストグラム図を作成できます。

熱硬化性樹脂など幅広い樹脂の測定が可能

半導体封止材のみではなく、様々な樹脂の硬化時間を測定することができます。

・半導体封止材、プリプレグ、接着剤、粘着剤、摩擦材、シーリング材、塗料他

・エポキシ、シリコーン、ウレタン、フェノール他

・熱硬化型、2液硬化型、湿気硬化型、常温硬化型

 

■樹脂の硬化時間(ゲルタイム)を自動で測定 ゲルタイム測定装置まどか
ゲルタイム測定装置まどか製品ページ

 

■ゲルタイム測定装置に新型が登場!ガラス繊維プリプレグ、炭素繊維プリプレグなどシートのままでゲルタイム測定が可能です

新型ゲルタイム測定装置しずか製品ページ

 

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