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2024.03.29
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エポキシ樹脂とは | 硬化時間(ゲルタイム)の測定方法について

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エポキシ樹脂は多くの優れた特性を備えているため、さまざまな用途で使用されています。ここでは、エポキシ樹脂の特徴や用途、ゲルタイム測定装置を使用したエポキシ樹脂の硬化時間(ゲルタイム)の測定事例などを紹介します。

エポキシ樹脂とは

エポキシ樹脂とは、分子内に2個以上のエポキシ基をもつ化合物の総称で、その化合物と硬化剤を混合することで硬化させることができる熱硬化性樹脂です。
エポキシ樹脂は主剤と硬化剤の組み合わせによって、耐熱性、絶縁性、耐薬品性、耐食性、接着性など様々な特性を付与することができ、用途に適したエポキシ樹脂を開発することが可能です。そのため、接着剤、塗料、成形材料、コーティング材料、電子部品などさまざまな用途に使用されています。エポキシ樹脂は、熱硬化性樹脂の中でも特に汎用性の高い樹脂です。

エポキシ樹脂の特徴

エポキシ樹脂は、主剤と硬化剤の組み合わせによって優れた特性を備えることができるため、さまざまな用途に使用されています。そのメリットやデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

 

エポキシ樹脂のメリット

接着性

エポキシ樹脂が接着性に優れている理由の一つは接着強度の高さです。エポキシ樹脂は、硬化剤と反応して架橋ネットワークを形成する性質があります。この架橋ネットワークは非常に強固な構造を形成するため、接着強度が高くなります。一般的に、エポキシ樹脂の接着強度は10MPa以上あるとされています。これは1cm四方の接着面積で約100kg以上の重りを支えることができる、非常に強い接着力です。

 

耐熱性

エポキシ樹脂の耐熱性は硬化剤の種類によって異なりますが、一般的に150℃~200℃程度と言われています。耐熱性の向上を目的としたエポキシ樹脂も開発されており、300℃~400℃程度の耐熱性を持つものもあります。

 

耐食性

エポキシ樹脂は、硬化剤の種類によって異なりますが、金属の腐食を促進する原因となる水分や酸素を通さない性質があるため耐食性に優れています。

 

耐薬品性

エポキシ樹脂は多くの化学薬品に対して耐性を持っており、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリ、トルエン、キシレン、アセトンなどの有機溶剤、油、グリースなどの油脂などがあげられ、高い耐性を有しています。

 

電気絶縁性

エポキシ樹脂の電気絶縁性はその分子構造に由来しています。エポキシ樹脂は分子内に2個以上持つエポキシ基で架橋ネットワーク化が可能です。この架橋ネットワークは電子が自由に移動できる経路を阻害し電子が移動しにくいため、電流が流れにくくなります。

 

エポキシ樹脂がつかない素材

エポキシ樹脂接着剤は、多くの素材に接着できる汎用性の高い接着剤ですが、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、シリコーンゴム(SI)、ガラス、フッ素樹脂など接着できない素材もあります。

 

エポキシ樹脂のデメリット、弱点

・紫外線に弱い

エポキシ樹脂は紫外線に弱く、屋外などで紫外線に当たるとすぐに劣化してしまう場合があります。紫外線に当たる場所で使用する場合は、紫外線カット剤を塗装する、トップコートを塗り保護をするなど対策する必要があります。

 

・低温下での硬化に時間がかかる

エポキシ樹脂は低温下での硬化に時間がかかります。そのため気温が低い場所で使用する場合作業効率が低下する可能性があります。また、硬化時間が長いと硬化中に反応が不十分となり、強度が低下する可能性があります。

 

エポキシ樹脂の硬化時間(ゲルタイム)測定装置はこちら▼

エポキシ樹脂の硬化時間(ゲルタイム)測定装置まどか

エポキシ樹脂の用途

半導体拡大写真

エポキシ樹脂は、その優れた特性から接着剤、コーティング剤、複合材料など、さまざまな用途に使用されています。

 

接着剤

エポキシ樹脂はその接着強度の高さから、ブロック塀など、瞬間接着剤や木工用接着剤では接着できない重いものの接着に使用されています。また、接着強度が高いだけではなく、耐水性、耐薬品性、耐熱性にも優れているため、金属、ガラス、木材、プラスチックをはじめ、自動車のボディの割れやへこみ、穴の修理や、船舶の修理などさまざまな材料の接着剤として使用することができます。
他にも、コンクリートやひび割れなどの劣化部分にエポキシ樹脂の接着剤を塗ることで、劣化部分を補強し劣化の進行を防止することでも使用されています。

 

塗料、コーティング剤

エポキシ樹脂は耐熱性、耐薬品性、耐久性、耐食性に優れているため、塗料、コーティング剤として活用されています。特に高温や薬品、水にさらされる可能性がある自動車や家電製品、船舶やタンク、化学プラントなどの塗装に使用されています。
コンクリートやアスファルトは経年劣化でひび割れや剥がれが発生することがあるため、エポキシ樹脂のコーティング剤で補強することで耐久性を高めることができるため多く使用されています。
他にも、雨や風にさらされる橋梁や鉄塔などの塗装、屋外用塗料や防水塗料、電子部品の保護コーティング、木材の塗料などさまざまな場所で使用されています。

 

複合材料

エポキシ樹脂は強度が高いため、高い強度と耐久性が求められる複合材料としても使用されています。
特にカーボンファイバーやガラス繊維などと組み合わせることで、高強度な材料を製造することができます。製造された複合材料は、以下などに使用されています。
・航空機、船舶、自動車などの構造部材
・スポーツ用品、工具、家具などの製品
エポキシ樹脂の複合材料は軽量で強度が高く、耐衝撃性にも優れているため、落下などの衝撃から製品を保護することができます。

 

電子部品

エポキシ樹脂は電気絶縁性にも優れているため、電気を通さない部分が必要な電子部品の素材や、プリント回路基板、ハイブリッド基板、トランジスタ、集積回路といった電子回路の組成物に使用されています。

 

半導体封止材の材料として

エポキシ樹脂は半導体を保護するために必要な、高い強度、耐熱性、耐薬品性、接着力、電気絶縁性などの特性を全て満たしているため、半導体封止材の材料として多く使われています。半導体封止材に使用されるエポキシ樹脂にはいくつか種類があり、使用される半導体チップの種類や用途に合わせて適切な種類を選択しています。

 

半導体封止材についてはこちら▼
半導体封止材とは?役割や用途、品質管理について解説

エポキシ樹脂の硬化について

エポキシ樹脂の硬化は主剤と硬化剤が反応することで起こります。主剤は、エポキシ基を有する化合物で、硬化剤は、主剤のエポキシ基と反応する化合物です。

 

エポキシ樹脂には1液型と2液型がある

エポキシ樹脂には、1液型エポキシ樹脂と2液型エポキシ樹脂があります。
1液型エポキシ樹脂は、製品に硬化剤が含まれているため硬化剤の混合をせずに使用でき、加熱によって反応し硬化が起こります。熱に反応してしまうため冷蔵や冷凍での保管が必要な場合があります。硬化後のエポキシ樹脂は、耐熱性に優れます。
2液型エポキシ樹脂は主剤と硬化剤に分かれており、それらを混合することによって硬化します。2液を混合することで反応が起きて硬化するため、室温でも硬化させることができます。耐久性に優れているため耐用年数が長いというメリットがあります。保管は常温でも可能です。

 

エポキシ樹脂の硬化方法、硬化時間について

エポキシ樹脂の硬化方法には、常温硬化型と加熱硬化型があります。

 

加熱硬化型
加熱することでエポキシ樹脂と硬化剤が反応して硬化し、硬化時間が短縮されます。大規模部品の製作や、短時間で硬化させなければならない場合に適しています。また、加熱することで硬化物の強度や耐久性も向上します。

常温硬化型
常温硬化型のエポキシ樹脂は室温で硬化させます。加熱する必要がないため、低温下でも硬化させることができます。ただし、加熱しないため硬化時間が長く、硬化物の強度や耐熱性は加熱硬化に比べて劣ります。

 

エポキシ樹脂の硬化時間はエポキシ樹脂と硬化剤の種類や混合比率、硬化温度、湿度などの条件によって異なります。製品の品質や安全性、製造効率に影響するため、正確に再現良く測定することが重要です。

エポキシ樹脂の硬化時間(ゲルタイム)測定

樹脂のゲルタイム測定写真

硬化時間とは、材料が硬くなるのに要するまでの時間です。一方ゲルタイムとは、液体樹脂の硬化が進みゲル状になり、糸引きなどが起こる時間です。

ゲルタイム測定は、ポットライフ(可使時間)の確認や品質を管理する上で重要な手法です。ゲルタイム測定をすることで、エポキシ樹脂の硬化を正しくコントロールし、目的通りの硬化を実現することができます。

 

ゲルタイム測定装置などのカタログ一覧はこちら▼
カタログダウンロード一覧

【事例】ゲルタイム測定措置 まどか でエポキシ樹脂のゲルタイムを測定

自動硬化時間測定装置「まどか」を使用して、熱板温度を変えた時のゲルタイムを確認しました。

 

■測定内容

エポキシ樹脂 液体

投入量 約0.3gml

 

■測定の流れ

140°~180°まで、5度ずつ熱板温度を変えてエポキシ樹脂のゲルタイムを測定しました。。

 

■測定データ

温度ごとのゲルタイム測定結果

熱板の温度が高い方が、ゲルタイムが短いことがわかりました。

 

■相関データ

温度とゲルタイムの関係を相関データで確認。まどかツールの機能を利用すると一目瞭然。

相関データの機能を使うとゲルタイムと温度などの関係をグラフで確認する事ができます。(1次関数)。

ゲルタイムと温度の関係グラフ

樹脂の硬化時間(ゲルタイム)測定をまどかで自動化するメリット

ゲルタイム測定の多くは人の手による測定ですが、手動ではなくゲルタイム測定装置を使用し自動化することで以下のようなメリットがあります。

 

・測定精度の向上

手動でゲルタイムを測定する場合、人間の判断に頼るため、測定精度にばらつきが生じる可能性があります。自動化することで測定を機械に任せることができるため、測定精度が向上します。

 

・熟練技術が不要

人の手で測定を行う場合、人的コストがかかる、測定の均一化が難しい、測定技術を習得するまでに膨大な時間が必要などの課題がありました。

ゲルタイム測定装置「まどか」は、判定基準をパラメーターで設定し自動測定を行うため、測定者が代わっても同じ結果が得られます。熟練技術がなくても再現性の良い結果を得ることができるため、測定者の手間を省くことができ、人手不足の解消にもつながります。

 

・品質管理の強化

ゲルタイムはエポキシ樹脂の品質を管理する上で重要な指標です。自動硬化時間測定装置「まどか」は、専用ソフトを活用し、必要な樹脂・ロット/期間分の管理図、パレート図、ヒストグラム図を簡単に作成でき、品質や工程などの管理状態(分布状態、ばらつきなど)を視覚的に把握することが可能です。測定した膨大なデータをまとめるのに時間がかかるなどの問題が無くなります。

 

また、測定データをメインサーバーで一元管理できるため、情報の共有が容易になります(オプション)。データの入力作業が不要になり、作業の自動化が実現できます。

 

【統計的品質管理】ゲルタイム測定装置を活用した品質管理効率化の方法

 

エポキシ樹脂他、様々な樹脂の測定が可能

ゲルタイム測定装置「まどか」は、様々な樹脂のゲルタイムを測定することができます。

・エポキシ、シリコーン、ウレタン、フェノール他

・プリプレグ、半導体封止材、接着剤、粘着剤、摩擦材、シーリング材、塗料他

・熱硬化型、2液硬化型、湿気硬化型、常温硬化型

 

■樹脂の硬化時間(ゲルタイム)を自動で測定 ゲルタイム測定装置まどか
ゲルタイム測定装置まどか製品ページ

 

■ゲルタイム測定装置に新型が登場!ガラス繊維プリプレグ、炭素繊維プリプレグなどシートのままでゲルタイム測定が可能です

新型ゲルタイム測定装置しずか製品ページ

 

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