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2024.08.07
SOLUTION
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太陽光発電の黎明期から蓄電池事業まで

機能に最適な技術や知見をつなぎ再生可能エネルギー普及をリードする|エネルギーソリューション事業部

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松尾産業は太陽光発電の黎明期からセル向け原材料の共同開発に携わり、この知見を活かし、セルやモジュールの取り扱い、電力の安定供給を見据えた系統用蓄電池事業など、再生可能エネルギー分野において幅広く事業展開を行っています。

お客様は、太陽光発電や蓄電池などを駆使して、ビジョンや目標の達成に向け運用や戦略を練られていることと思います。しかし、その中でプロダクトに多くの課題を抱えているのではないでしょうか。エネルギーソリューション事業部では、お客様の課題解決に資するトータルソリューションを提供していきたいと考えております。

本記事では、エネルギーソリューション事業部の歴史や目指す姿について、事業部を率いる石川が紹介致します。


石川 悦達(Ishikawa Etsutatsu)
中国での留学経験を活かし、大手小売会社で海外事業開発を経て、2010年松尾産業に入社。中国での駐在後、海外事業戦略室 室長として太陽電池部材の事業を牽引する。2020年海外戦略室がエネルギーソリューション事業部に昇格し、事業部長として再エネの普及に取り組む。

 

具体的なソリューションを読みたい方はこちら

≫川上技術からの提案力を武器に――特殊セルやモジュールの調達・開発をサポート|エネルギーソリューション事業部

≫系統用蓄電池の普及拡大を後押しする――実稼働までのワンストップソリューションとは|エネルギーソリューション事業部

太陽電池部材を扱うなかで専門的な知識を蓄積。商社だからできる特殊品への対応。

――エネルギーソリューション事業部についてご紹介ください。どのような商材を扱っているのでしょうか?

 

松尾産業と太陽電池の関りは古く、太陽光発電の黎明期から太陽電池セルの部材、具体的にはセル裏面に塗布するアルミペーストという導電電極材をグローバルトップメーカーと共に共同開発、長年扱ってきた実績があります。

アルミペーストは、結晶シリコン系太陽電池の裏面電極材料として使用されている、変換効率を左右する重要な部材です。当社ではアルミペーストの販売を通じて、太陽電池業界の市況や最新の技術情報を蓄積、開発に関わる専門家やトップランナーとのネットワークという大きな強みを得られました。

これまで当社が供給した原材料で発電された電力量は約70GW*¹となり、これは2023年度における日本の太陽光発電累積導入量に匹敵します(2023年12月末時点の導入量は73.1GW*²)このように太陽光発電の普及に貢献してこれたことを、大変誇りに思っております。

現在はアルミペーストに加え、太陽電池セルの販売も事業の柱となっています。今後は「BIPVモジュール」「系統用蓄電池のビジネスをそれぞれ新たな柱に育てていこうと考えています。

――太陽電池セルやモジュールビジネスについて教えてください。太陽電池というと、野立メガソーラーや家屋に設置されている太陽パネルをイメージする方も多いと思います。松尾産業はどのようなソリューションを提供しているのでしょうか。

 

一般的にメガソーラーは、1000kW以上の発電容量を持つ産業用大規模太陽光発電施設を指します。メガソーラーとして大量に生産されている太陽電池モジュールの生産・販売は大手メーカーが中心となって手がけており、プレイヤーが決まっていると言っても過言ではありません。

当社では 価格競争が避けられない分野に注力するのではなく、商社だからこそ付加価値を生み出せる領域に軸足を置くことでポジションを獲得してきました。特に特殊モジュールの調達、並びにカスタマイズ製品の開発において業界で実績を積み重ねています。

当社はこれまでの太陽電池部材を販売してきた経験から、太陽電池製造の内情を知っています。その技術レベルや製品品質が正当に評価できるグローバルトップメーカーとの連携はもちろんのこと、規模に関わらず世界各国のさまざまなメーカーとのコネクションがあり、技術的な課題解決ならこのメーカー、調達リスクマネジメントならこのメーカーと、お客様のご要望に応じたサプライチェーンを構築することが出来ます。マーケット情報や調達戦略を含めた技術提案ができるので、通常とは異なるルートも駆使して難しいニーズにも応えていくことができるわけです。     

加えて、当社はグローバルトップメーカーのR&D部門に在籍している複数の技術顧問とチームを組んでおり、外部や業界の最先端の情報や先端技術の習得も武器としながら、調達機能を持ったコンサルティングサービスという立ち位置でお客様の課題に伴走しています。

――松尾産業が間に入ることによって、お客様自身では解決することが出来ない課題やお困りごとに伴走しソリューション提供をしてきたのですね。今後は「BIPVモジュール」を成長の柱と考えられているとのことですがどのような取り組みを進めていますか?

 

特殊モジュールの需要は高まっており、今後も拡大していくことが予想されます。しかし、現状では日本市場への供給元は限られており、お客様の選択肢が狭まっているのが課題です。

具体的には、昨今の国際情勢を鑑み、太陽光モジュール最大の製造国である中国以外からの調達にも対応したいと考えています。更には自社での検査機能を設け、モジュール自体の検査や品質担保を担える体制を構築して参ります。当社が主導となり、各プロセスにおける最適な部材を世界各国から選定、最終製品開発・規格・生産管理~保証までの一連の流れを付加価値として提供していくことを目指します。

発電量と電力需要が正反対という再生可能エネルギーの課題

――では、もう一つの系統用蓄電池のビジネスについて教えてください。

 

系統用蓄電池は、電力系統に接続する蓄電池のことです。再生可能エネルギーの増加に合わせて注目が高まっています。

背景には、世界的な脱炭素に向けた動きの加速があります。日本でも2050年までに二酸化炭素の排出量をゼロにするカーボンニュートラルを政策として掲げ、エネルギー電源を火力から再生可能エネルギーへシフトさせていく方針を打ち出しています。

日本の太陽光発電導入量は、中国、アメリカに次ぐ世界第3位となっており、太陽電池パネルはかなり普及しています。メガソーラーもすでに数千件設置されていますが、その中でいろいろな問題も見えてきました。

電力には「同時同量」という大原則があります。これは、発電量と消費量が常に一致していなければならないことを意味します。もしこのバランスが崩れると、周波数変動などの電力品質の悪化や、最悪の場合は大規模停電に繋がる可能性があります。電力会社は、こうした事態を防ぐため、時間ごとの需要・供給を予測し、適切な発電量と送電量を調整しています。

再生可能エネルギー、特に太陽光発電は、発電量のピークが午前中にあり、実際に電力需要が高まる夕方から夜にかけてはほとんど発電できず、その発電と需要は正反対の動きをしています。せっかく発電しても需要を供給が上回り、利用されることなく捨てられているという現実があります。2023年には「出力制御」によって45万世帯分の年間消費電力に相当する電力が捨てられました。

系統用蓄電池は、電気系統に接続することで電気が余った時に貯め、必要な時に供給できるため再生可能エネルギーの発電変動の調整役として国内外で注目を集めつつあります。

系統用蓄電池によって新たなビジネスが生まれる

――系統用蓄電池の役割は理解できました。今後、どのようなビジネスモデルを想定していますか?

 

日本でここまで太陽光発電が普及した背景には、再生可能エネルギーの電力を電気事業者が買い取る「固定価格買い取り制度(FIT)」があります。FIT制度がスタートした当時、住宅用太陽光発電による売電単価は42円/kWhと高く、長期的に安定したリターンが見込める投資商品としての側面がありました。

FITによる買取は10~20年間*³で終了するため、2022年以降順次終了を迎えるケースが出ています。FIT期間終了後も自家消費でなく売電を継続する場合、低単価での取引になります。

こうした電力は、JEPX(日本卸電力取引所)のスポット市場で取引されており、その価格は24時間を30分毎に48分割して各時間区分で決まります。再生可能エネルギーは、需要の少ない日中に発電量が多いと言いましたが、JEPXでも日中電力区分における価格が0.01円/kWhをつけるという低価格化現象が起きています。

このため電力市場の状況に詳しいメガソーラー事業者を中心に、市場価格が安い時間帯に電気を蓄電池へ買い入れて、例えば夕方の高い時間帯に12円/kWhで売って利益を出すといったニーズが生まれています。時間帯による電気料金の価格差での収益も期待でき、大規模な設備、土地が不要と投資としても有望視されているわけです。

当社では太陽電池で得たノウハウも活かし、系統蓄電池の販売はもとよりシステム設計、運送や施工など稼働までワンストップサポートを提供し普及につなげていきます。

太陽電池セルや特殊モジュール、系統用蓄電池を推進する中ででのお困りごとやご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。課題から解決方法を一緒に模索し、技術提案や調達の交渉をお手伝いをいたします。


▲系統用蓄電池ビジネスについて詳しく知りたい方はこちら

*¹原材料供給による累積発電量として換算
経済産業省 再生可能エネルギーの導入状況 2024年6月13日 資源エネルギー庁 太陽光発電の導入状況(1)を参照 FIT制度の買取期間は、一般家庭に設置されることが多い容量10kW未満の太陽光発電の場合、10年間で、産業用は20年の買取期間が保証されています。

 

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