太陽電池業界の最後の砦――特殊セルやモジュールの調達・開発をサポート
――エネルギーソリューション事業部で扱っている太陽電池関連の商材についてお話いただけますか?
栗田:当事業部では、太陽電池の黎明期から取り扱う導電性アルミペーストから、太陽電池セル、そして太陽電池モジュールと川上から川下まで幅広く取り扱っている状況です。製品を扱う中でトレーディングだけでなく技術提案や開発サポート、プロジェクト完結までの伴走など、ユーザーニーズに合わせたソリューションも提供しています。
アルミペーストはサプライヤ-と太陽電池メーカーの間に立ち製品開発を行なっています。技術面はもちろん、メーカー毎に違う製品設計志向や生産方法に対して、バリューチェーン全体からの視点を持って要望に応えることに私どもの介在価値があると感じています。現在は電気特性をより高める為、ペーストが寄与できるように開発を進めています。
セルやモジュールに関しては、中国メーカーが9割近くシェアを握っていて、ルール決めを行なっているような状況にあります。基本的には価格競争となる汎用モジュール/セルの販売にはフォーカスせず、当社でしかできないニッチな領域への対応を中心に価値提供を行なって参ります。
――現在主力となっている特殊サイズのセルやモジュールの供給や開発サポートはどのようなことを行なっているのでしょうか。
栗田:当社は太陽電池大手メーカーには対応を断られるような技術課題や調達課題を解決しています。
例えば、住宅用太陽電池モジュールの供給です。太陽電池モジュールはグローバル市場では大型化が進んでおり、日本では住宅規格に合った”特殊サイズ”の入手が難しくなっています。また、あえて汎用品ではないモジュールやセルを探されているお客様などさまざまな問題のご相談を頂戴しております。
具体的なお話しで申し上げると『20年保証の太陽光パネルを買って客先に納入したが、10年で故障して使えなくなってしまった』という相談がございました。入手可能な汎用のモジュールでは規格があわず、改修を安価に抑えるためには、旧品と互換性のある”特殊品”が必要になりますが、メーカーでは引き受けてもらえないというものでした。
このようなお客様の課題や要望に合わせて特殊セルやモジュールをグローバル市場から調達したり、プロジェクトに合わせたマーケティング支援や技術提案など開発支援を行なっています。
左:現在では入手困難な旧型の太陽電池セル 右:現在主流の太陽電池セル
――特殊セルやモジュールの開発事例にはどのようなものがありますか?
栗田:事例としては、大手住宅メーカー向け特殊サイズの太陽電池セルやゼネコン向けに路面舗装型太陽電池モジュール用部材の供給と開発、それに付随する蓄電システムの開発などさまざまなプロジェクトを手掛けています。
サプライヤーもユーザーも限定されるニッチな領域になりますが、他社では入手できないモノや情報を仕入れることができ、ひとつ先の提案をすることが当社の強みと考えています。
なぜ、それが可能かと言うと、アルミペーストという変換効率の向上に寄与する重要な部材を長年扱ってきた当社は太陽電池の専門家、グローバルの太陽電池メーカーなどプロフェッショナルとのコネクションや最新の一次情報を得ることができているからです。
昨今では、地政学的な緊張の高まりによる新たなご要望も出てきており、それらに応える形でモジュール周辺部材の取り扱いも拡充しており、今後も取り扱いは増えていくとみています。
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