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2024.08.07
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松尾産業が提供する実稼働までのワンストップソリューション

系統用蓄電池の普及拡大を後押しする|エネルギーソリューション事業部

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松尾産業は太陽光発電の黎明期からセル向け原材料の共同開発に携わり、この知見を活かし、セルやモジュールの取り扱い、電力の安定供給を見据えた系統用蓄電池事業など、再生可能エネルギー分野において幅広く事業展開を行っています。
本記事では、系統用蓄電池の販売を中心に、電力売買に関わるソフトウェアを含む蓄電システム実働までのソリューションを提供する系統用蓄電池ビジネスについてエネルギーソリューション事業部阿部が詳しくご紹介致します。

阿部 岳海(Abe Takemi)

海外営業を経て2018年松尾産業に入社。エネルギーソリューション事業部で太陽電池事業の推進に取組み、蓄電池ビジネスの立ち上げを担う。


エネルギーソリューション事業部の記事はこちら

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≫川上技術からの提案力を武器に――特殊セルやモジュールの調達・開発をサポート|エネルギーソリューション事業部

 

再生可能エネルギー拡大を支えるため、系統用蓄電池が不可欠なインフラになる

――はじめに、系統用蓄電池ビジネスが注目される背景について教えてください。

 

阿部:日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。目標達成に向けてさまざまな取り組みが進められています。

 

日本のCO2排出量の内訳はエネルギー・産業・運送で全体の8割以上とその多くが産業利用によるものです。なかでも最大の割合を占めるのがエネルギー分野です。現状は日本の電源の内訳としてCo2を排出する火力が過半数を占めている状況です。経済産業省はカーボンニュートラル達成に向けて2030年には火力発電を縮小し、その分再生可能エネルギーを広く普及させることを目標に掲げています。

引用:国立環境研究所「温室効果ガスインベントリオフィス」より

引用:経済産業省 資源エネルギー省 2020—日本が抱えているエネルギー問題(後編)より

 

しかし太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、気候や時間帯による発電の変動要素が大きく、電力系統への負担が大きいという課題があります。


具体的にお伝えすると、太陽光発電は
太陽が当たる昼間は発電量が多く夜間は発電致しません。しかし、電力の多くが使用されるのは夕方から夜にかけてとなります。電力は、需要と供給の一致が不可欠である“同時同量”の原則があります。電力系統では需要と供給のバランスが崩れると、電気の品質(周波数)が乱れ、大規模停電が発生するリスクを秘めています。そのため、従来は再生可能エネルギーの調整力として火力発電が活用されてきました。


将来的な火力発電の縮小により、今後の電力の安定化には、供給量≧需要量の時に
充電して、需要量≧供給量の時に放電する系統用蓄電池が欠かせない社会インフラになることが期待されます。電力系統の“同時同量”の運用を担う調整力として、系統用蓄電池に注目が集まりつつあります。

 

――系統用蓄電池はどのようなビジネスモデルなのでしょうか?

 

阿部:系統用蓄電池ビジネスのポイントとして、電力市場での電気料金の単価の変動があります。電力市場の単価は、時間帯によって大きく変動しています。


簡単に言いますと需要の少ない時間帯は単価が低く、夕方・夜間や朝など需要の多い時間帯は単価が高くなります。系統用蓄電池を活用することで、需要の少ない時間帯に充電し、需要の多い時間帯に充電した電気を販売し、その差額分を収益とすることが可能です。

上述したように太陽光発電は昼間を中心に発電量が多くなるため、発電した再エネに需要が追い付かず太陽光発電を止める出力制御が発令されるなど、再生可能エネルギーが供給過多となっています。そのため、昼間は市場価格が非常に低くなる傾向があります。安い価格で電気を仕入れ、ピーク時に売ることにより多くの収益を得ることができるわけです。

 

系統用蓄電池ビジネスでは系統用蓄電池を導入し、電力市場を活用して利益を得ます。複数の取引市場に参加することが認められており、容量市場(kW価値)、需給調整市場(ΔkW価値)、卸市場 (kWh価値)等での収入を組み合わせて投資回収していくビジネスモデルが主に想定されています。

引用:資源エネルギー庁「系統用蓄電池の接続・利用のあり方について

系統用蓄電池ビジネスにおける多様な要素の最適化_商社だからできる柔軟なシステム設計

――松尾産業の系統用蓄電池ビジネスのポイントはどのようなことにありますか?

 

阿部:系統用蓄電池ビジネスは、導入する蓄電池、設置場所、季節や天候、売買のタイミングや市場などさまざまな条件最適化することにより収益を最大化させることが可能になります。これらには専門的な運用やITシステムが必要となります。


さらに、
日本の電気事業法の電圧区分では、低圧、高圧、特別高圧の3種類に区分されていますが、当社のスコープとしては交流で50kWから1999kW以下という高圧の蓄電所、事業規模でいうと1件数億円規模のビジネスになります。フェーズとしては、こうした電気の売り買いで利潤を出すという事業性に着目したアーリーアダプターが参入してきている状況です。蓄電池の製品寿命は、一般的に15〜20年と言われていますので、5〜10年で投資を回収できるのであれば事業性が高いと判断されているようです。


高圧で電力網に接続する蓄電池システムを構成するにあたって、蓄電池本体に加えて「バッテリーマネジメントシステム」、「パワーコンディショニングシステム」、「エネルギーマネジメントシステム」、「ゲートウェイ」、「キュービクル(変電設備)」、「送配電網」という、6つの構成要素が必要になります。

 

そのため蓄電池メーカーだけでなく、いろいろなメーカーから部材や装置を導入してシステムインテグレートした上で、お客様に提案することになります。ここで当社の強みとしては、商社として自社製品を持たず、水平比較をした上で柔軟なシステム設計が行えるという点にあります。

――松尾産業の系統用蓄電池ビジネスではどのような蓄電池を取り扱われていますか?

 

阿部:蓄電池の種類としては、リン酸鉄リチウムイオン充電池になります。どこのメーカーの電池でも良いということではなく、当社ではまず高品質な車載グレードの電池の製造実績があるメーカー製であることを、一つの品質判断基準としています。実際にこのレベルの電池が作れるメーカーは世界的に見ても数社しかなく、主に中国に集中しています。


ところが、日本市場への導入ということを考えたとき、欧米や豪州、中国などと比較して、日本は電力網に接続するルールが厳しいことがあり、電池メーカーだけの知見ではなかなか参入が難しいという状況があります。また、電力網はリアルタイムでさまざまな変化に対応する必要がありますし、電力事業者側が何らかのトラブル回避などを目的として要件を変更する可能性もあります。


こうした変動要因にも対策を講じ、ユーザーへご説明/ご提案をする必要があります。当社はそうした日本独自の制度の解釈や、最新情報を随時アップデートし、それらを必要要件としてメーカーに伝え、都度システムの最適化を行っております。上記の要件に対応出来るメーカーを選定して協業し、お客様にシステム提案を進めています。

メガソーラーなど電力ビジネスの知見者が注目する系統用蓄電池ビジネス_実運用までワンストップソリューションを提供

――どのようなお客様からの問い合わせがあるのでしょうか?

 

阿部:私たちの主なお客様は、メガソーラー発電所の設計・調達・建設を一貫した形で請け負っているような、いわゆるEPC事業者の方々です。各社とも電力に関する知識や、電力会社や電力市場に関する知識もあって、事業性が高いと判断された上で、次の事業戦略として系統用蓄電池に注目している状況です。これまでメガソーラーを運用してきた事業者からの問い合わせが多く『系統用蓄電池についてはどこから手をつければいいのかわからない』といった問い合わせが中心です。


系統用蓄電池についても、外部顧問を登用しており、電気設計から機器の選定、メーカー的な仕様確認ができる人員をおいています。設計、調達、施工全て任せていただけるような協業体制を構築しており、今後も組織を強化していきたいと考えています。

 

――事業者様からお任せしていただければ全て対応できる体制ができているということですか?


阿部:一般的にシステムを導入する場合、電気設計や電力会社との協議、系統連系などを含めた完工までのノウハウが必要です。しかし、それは事業者側が担うというのが一般的です。一方、当社と契約したお客様には設計から完工までワンストップサービスとして提供しており、この点が他社とは違う大きな強みになっています。実際にお客様からも、この点を高くご評価いただいています。

お客様が系統用蓄電池を導入する目的は、運用して利益を出すことです。当社は完工まで伴走するサービスを提供できますから、お客様にとってもワンストップソリューションでシステムを導入できるメリットがあります。

欧米や中国、オーストラリアなど国土が非常に広いところでは、メーカーが直接GWクラスといった大型のシステムを手がけるようなケースが多いのですが、日本では分散型エネルギーシステムを構築する必要があると言われており、諸外国と比較すると事業規模が小さな案件を多数扱うことが中心になるかもしれません。

 

――なるほど、導入するタイミングとしてはいかがでしょうか。太陽光パネルはかなり普及しているという理解ですが、系統用蓄電池はまさにこれからというホットな案件ということでしょうか。


阿部:国内で電力網に系統用蓄電池が本格的に接続され始めたのは、2023年頃からです。当社は商社のなかでも早い段階から参入をはじめたので案件の進捗は進んでいる方だとメーカーから評価を頂いております。


当社は外部の技術顧問を含めた体制を早いうちに構築しており、メーカー側の技術者と電力会社との間に入って、さまざまな事業者のサポートを進めております。当社としても太陽光発電関連事業で培ってきたノウハウやコネクションを活かし、系統用蓄電池事業も大きく伸ばしていきたいと考えています。しかし、電力関係の案件は非常に足が長いので、今から取り組みをスタートさせても、実際の導入は2025〜26年になると見ています。

 

「系統用蓄電池を導入するという事業方針は決まっているが、どのように進めればいいのだろう」というお悩みがあれば、当社にお声がけいただければ柔軟なご提案ができるかと存じます。お気軽にお問い合わせください。

≫系統用蓄電池ビジネスについて詳しく知りたい方はこちら

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