オートモーティブ事業部では、主にお客様である自動車メーカーに各種部品を販売しています。また、不具合が出た際には部品メーカーと連携して迅速に初動対応を取り、原因を調査して再発防止策を報告します。扱う部品の開発段階から携わっているのも特徴ですね。
その中で私の役割は製品の品質を管理することです。現在は取引先である部品メーカーの工場に常駐し、エアバッグの製造工程における品質管理を任されています。第三者目線で「決められた手順通りに作業が遵守されているか」を確認し、必要なものが付いていなかったり、左右を間違えたりというミスを無くして不具合の発生を防いでいます。
品質管理は、お客様や部品メーカーはもちろん、部品を運ぶ運送業者などの協力も得なければいけません。そのためには各所とのコミュニケーション量を増やし、日常的に関係を築いていくことが不可欠です。私の場合は社会人歴が浅いこともあり、相手の話を聞く立場に回って知識やスキルを学ぶ機会が多いですね。謙虚な姿勢で接し、自ら心を開くよう意識しています。
常駐先の工場は2022年4月に稼働したばかりです。通常であれば部品は各工程を経てそのまま出荷されますが、立ち上り直後は出荷前に再び検査を行っています。作業員を束ねる監督者や部品メーカー側の品質管理担当者と話し合いながら、スムーズな立ち上げを実現させていきました。
このテスト期間の中、部品の状態を確認するためのミラーが1度だけ落下したことがありました。製品の不具合につながるようなトラブルではありませんでしたが、ミラーの設置場所を決め直し、落下防止のための枠を設けるよう提案して改善に至っています。
こうした細かい改善を増やし、広げていくのが私のミッションです。不具合が起きたらすぐに対応するのは当然ですが、起きるかもしれないと分かった瞬間に問題点を挙げ、予防のために実行に移すのが大切なのです。何かに気付いたらスピーディに動く・動かすことが重要ですね。
松尾産業には2020年に転職しました。前職はカーディーラーで、車好きが高じて新卒で就職しています。自動車はまさに“天性の趣味”で、母によると年少の頃には行き交う車の名前をすべて言い当てていたようです。
転職の理由は「お客様に高品質な車を提供したい」との思いからです。カーディーラーでは“完成品”を扱うことから、品質面への関与は叶いませんでした。一方、松尾産業では部品の段階から、しかもその開発にも携われます。前職でエンドユーザーの生の声を聞き、現在も自動車ファンのネットワークを通じて広く情報を得られるので、必ず役に立てると考えました。経験上、部品を見て車の完成像を想像できるのも私の強みです。
また、松尾産業のチャレンジングな社風も入社を決めた理由です。品質管理においても、本来は商社の領域ではなく製造元が担うのが一般的ですが、そこに価値を見いだし、投資して挑んでいく姿勢に心引かれました。
なお、入社後は5カ月にわたり、現在の常駐先である部品メーカーの別工場で品質管理者になるための研修を受けています。先方の独自の手法に触れ、エアバッグの仕組みはもちろん、人命に関わる重要保安部品としての特性についても深く学びました。
この工場では各工程で明確なルールがあり、口頭のみの説明で終わらないよう文書化されていたのが印象的です。その一つが作業手順書で「エアバッグはこのように持って袋から出す」「4つのビスをこの順番通りに打つ」など、目を通せば誰でも正確に作業できるよう工夫されていました。過去に起きたトラブルの事例もデータベースに蓄積され、不具合の予防や発生時の対応に役立てられていました。
さらに研修を通じて「品質はお客様やエンドユーザーが決めるもの」「求められる品質は時代と共に変わる」と知りました。エアバッグは命を守る重要保安部品なので、絶対に不具合があってはなりません。しかもドライバーや同乗者から見えない場所に収納されているので、エンドユーザーに不安を与えず、そして心地の良いカーライフを守れるよう品質管理の徹底を胸に誓いました。
車が好きなので、幸いにも部品の名称や役割が分からずに困ることはありませんでしたが、品質管理という仕組みそのものについては全くの素人だったので最初は苦労しました。
特に、あらゆる場面において先輩方が気付くようなポイントを見過ごしていました。あるいは工程内で違和感を覚えながらも、どのように提案・行動すればいいのか判断できず、周囲との知識量の差を痛感させられました。未経験とはいえ品質管理の専属として採用されたので、私に“気付き”の幅があれば先輩の不在時にも対応できたはずだと、貢献できずに悔しい思いをしたことは何度もあります。
この差を埋めるべく、系列の工場で新人研修に参加し、現場の作業者や監督者を訪ねて品質管理の知識と方法を教えていただきました。得られるものは何でも吸収しようというスタンスで臨みましたね。また、常に先輩の後ろにつき、一挙手一投足を目で覚えた時期もあります。
今では何をすべきか少しずつ理解できるようになり、常駐先の工程を確認するための管理シートを作成したり、過去トラブルの蓄積シートを独自に運用したりと、より良い品質管理について自ら考えて行動できています。
また、先ほど品質管理には各所との関係構築が不可欠だと話しましたが、特に大切なのが本音で語ることです。なぜなら不具合を防ぐために、部品メーカー側に面倒な作業を増やすかもしれないからです。その際に「なぜ従来のやり方を変えるのか」を真摯に伝えなければ「とりあえず聞いておこう」「二の次にしよう」などと受け取られ、改善につながらない可能性があります。
だから私は、Values10ヵ条の中でも「本音はいつも強い」に共感しています。品質管理を確実に実行するには、時にぶつかることも承知しながら、心からの言葉で接することが大切なのです。
今後はさらに品質管理能力を上げるため、製造業の上流部分に相当する設計開発への理解を深めたいです。はじめに設計開発があり、生産準備を経て量産開始を迎えるので、初期の段階から携われると部品の設計思想や開発時の狙いもわかるようになるからです。
この点を製造工程に落とし込めたら、本来は取り組むべきだったのに見逃していたことや、逆に不要な作業を発見できるかもしれません。だから上流の領域について理解し、もっと開発のプロセスや意味を探っていきたいですね。会社のメリットにもつながる話だと思うので、熟考して上長に相談するつもりです。
松尾産業で品質管理の専属になったのは私が初めてだと聞いています。いずれ第一人者として認められるよう成果を残したいのですが、まだまだ、社内で品質管理をやっているという事を知っている人が少ないと感じています。私自身、取引先での常駐が続いており、他の事業部との交流が少ないのですが、今後、この部分については改善していきたいですね。
松尾産業の魅力は、やはりチャレンジングな風土です。事業を拡大し、商社の枠にとどまることなく、他社が着手しないような領域にも挑戦するスタンスが好きです。最年少である私のことまでリスペクトしてくれるのもうれしいですね。
未経験で入社したのは特殊なのかもしれませんが、それでも活躍できるよう多くのサポートを受けられました。これから入社を目指す方も「上を目指したい」という気持ちさえあれば、あらゆる事業が存在し、創出されるので刺激的に取り組めると思います。
※画像はイメージです。
立場や役職よりも本音の意見が人の心を動かす。建前や妥協には夢中になれない。