子供の頃から数字と英語が好きで、入社前は英会話講師をしながら簿記の資格を取得して、大手外資系精密機械メーカー財務部で働いていました。規模が大きい分業務は狭く深かったので、もっと領域を広げて成長したいと松尾産業に入社しました。入社後は、予算管理や資金繰り・財務諸表の分析などを一から学びました。当時の上司から指導を受けたり、自発的にセミナーへ参加するなどを続け、現在では経営判断に活かす数字を作成しています。さらに、語学を活かした仕事を熱望していたこともあり、松尾産業のアセアンへの投資が始まってから、インドネシア・マレーシア2拠点の設立に関わらせてもらうことになりました。
2011年に設立したインドネシアは、設立後の月次決算のフォーマットを決め、海外拠点の課題を吸い上げて本社との橋渡しを行うなど拠点を軌道に乗せるフォローを努めました。また、マレーシア設立時は、本当に何もない状態からオフィスを開設する場所や導入する会計ソフト等、管理面の構築を現地メンバーと話し合いながら作っていきました。オープニングメンバーとは度々食事に出かけ、今後のビジョンについて話し合い親交を深めました。2度にわたる立ち上げは、いずれもワクワクした思い出になっています。
総務業務に関していえば、全くの未経験だったので初めは馴染めませんでした。しかし、定年間近の先輩社員にホスピタリティとは何かを教えていただいたおかげで、社員が快適に働くことができる環境を整える大切さを学びました。現在は総務部のグループリーダーとしてマネジメントも担当しています。所属している総務部は、人事、経理財務、法務、広報など管理機能全般の役割を担っており、入社時想像した以上に業務の幅を広げることになりました。
拠点設立を通して構築できた現地マネージャーとの関係性を活かしアセアン3拠点、中国4拠点とグループ全体の決算取りまとめも任されるようになりました。決算の取りまとめと聞くと、各拠点のマネージャーが報告した数値をまとめ、会議で報告する”管理”的な印象があると思いますが、意外とアナログで現場感が重要な業務だと感じています。なぜかと言うと、財務戦略には数値に反映される背景やストーリーがとても重要だからです。
今でこそ締切日には揃う月次報告も安定化するまでには時間を要しました。すごく丁寧なので時間がかかる人、スピード重視で、暫定値で報告を行う人。人それぞれの当たり前が違うので、目的や意向を伝え、また聞くことを繰り返し、話し合いながらひとつずつ課題をクリアして行きました。また、新興国であるアセアンは法律がフレキシブルに変化するという現地ならではの課題もありました。マレーシアの付加価値税VATが廃止されSSTに移行した時も、現地マネージャーから一報があり、会話を重ねていく中でシステム対応ができていないことが判明し、大慌てで会計基準を調べなおし、事なきを得ました。数値以外のヒントは日頃のメールのやりとりや、相談の中にあると感じています。
「まずは斉川に聞こう」そう言ってもらえるようなコミュニケーションを心掛けています。
国ごとに商流や法律、文化が違い、知らなければ、相手が伝えたいことや困っていることを理解することはできません。そのためには相手と対等に話せる”受け入れる姿勢”を整えるように努めています。事前に調べられることは勉強する。語学も皆ネイティブではないので表情豊かに、お互いゆっくり丁寧に話す。わからなければ、質問の仕方を変えて理解できるまで聞く。相手を知りたいと思う好奇心が私の強みだと考えています。
拠点メンバーとは日常的にチャットでやり取りをしていて、現地でなければ気づかないこと、キャッチできない”違和感”や”困りごと”を相談してくれるので見えてくることがたくさんありました。必要があれば現地に飛ぶことも多く、多い時は毎月海外出張に行っていた時期もありました。おかげで、現地メンバーとクリスマスや誕生日にはプレゼントやメッセージカードを送りあうなど、互いに感謝の気持ちを持ちながら仕事に臨めています。余談ですが、マレーシア出張時に風邪を引いていた私の上司のために、現地の管理マネージャーが大量にのど飴を購入してくれたことがありました。以後も上司が健康にも関わらず、訪問する度にのど飴を用意してくれるという、冗談が通じる関係が成立しています。
第3条の「受け入れる勇気を持とう」を軸に新しい価値観や多様性について考える機会が増えました。
お話したように海外拠点と接することも多く、また、現在はマネージャーとして部下から色々な相談を受けることもあり、総務部としてはメンバーが働きやすい環境を整える役割も担っております。
個人としては、まず相手の意見を自分の中に取り入れることを心掛けています。相違を感じても、否定から入るとそれ以上話せなくなると思うので、まずは言葉をかみ砕き、消化してから自分の意見を伝えます。私が思う「こうあるべき」では見えていないこともよくあるので「受け入れて聞く」は始まりの1歩ではないでしょうか。
松尾産業はグループ全体で200名弱の従業員が在籍しており、国籍や職種、多様な方が働いています。まずは受け入れる、そこから対話が生まれ、自身も会社も新しい価値観や様式を広げることができるのではないかと考えています。松尾産業にはリスペクトという言葉が浸透しているように思います。経営層も従業員もリスペクトし合っているため互いの距離が近く、風通しの良い風土があります。ここが松尾産業の何よりの好きなところです。
「受け入れる勇気を持とう」はこのリスペクトを前提としている言葉だと思います。多様な部門や人との関わりから新しい価値観に出会える機会を貰えています。今後もマネジメント業務を通して、前向きな解決策を一緒に考えていければと思います。
多様性、馴染みがない価値観・様式を受け入れるには勇気がいる。しかしそれは度量となり人と会社を成長させる。