INNOVATION

2024.09.25
CASESTUDY

ユーザーボイス① お客様の商品に価値を提供する機能包材の開発スピードを加速|丸東産業株式会社様

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福岡県に本社を置き、食品や医薬品の包装等人々の生活に密着したラミネートフィルムを製造販売されている丸東産業株式会社様。
以前は試作活動のリードタイム、開発品の検証時間確保に課題を抱えており、新たな機能包材の開発スピードを加速するためラボ/パイロットコーターVCMLを導入。今回は丸東産業株式会社久本様に、導入後の変化、今後の展望について伺いました。

機能包材に新たな価値を付加する、易開封・吸湿機能フィルムの開発

-貴社の事業内容と久本様のお仕事内容、開発のテーマについて教えてください。

当社では食品や医薬品の包装等、人々の生活に密着したラミネートフィルムを製造販売しており、デザイン作成、商品企画から自社工場での一貫生産を強みとしています。

私は昨年から新設した組織であるR&Dセンターにて、機能包材を中心とする、お客様の商品に価値を提供できるパッケージの研究開発を行っています。

現在はパッケージに易開封機能を付加すること、そしてフィルムに吸湿性能等を付加するアクティブパッケージを主なテーマとしています。

 

-例えばどのような製品を開発、販売をされていますか?

「ストレスフリー掴めるくん」、「乾燥剤フリー吸湿くん」という商品で、切れやすい、開封しやすい、環境にやさしいなど、生活に便利な新しい機能を付加した製品を開発、販売しています。

「ストレスフリー掴めるくん」は、袋の切り口に掴み部分ができるチャック袋です。レーザー加工を施すことによって、袋をどちらの方向に切っても簡単に開けられる掴み部分ができ、よりスムーズな開閉を実現しました。これにより、袋の切り口が密着してしまって開けにくいという消費者の方のお悩みを解決します。

~ラボ/パイロットコーターVCMLを導入するに至った背景~

試作活動のリードタイムと、開発品の検証時間確保に課題を感じていた

 

-貴社が抱えていた課題について教えてください。

以前は試作活動にリードタイムがかかっており、開発スピードの向上に課題を感じていました。当社はフィルムや接着剤などの素材の組み合わせによる開発活動が主となりますが、これまでは自社内の生産実機を用いて試作を行っており、生産活動の合間を縫って試作を行う必要があったため、試作までのリードタイムが掛かることがしばしばありました。そのため各材料メーカー様から新しい材料の情報、提案を頂いても、また展示会で得た新たな材料等の知見を得ても、柔軟な対応が難しく、アイデアを迅速に試作・検討する事ができませんでした。

また、生産活動を優先する必要があり、試作を行うための時間を確保することが難しかったため、試作のための十分な加工条件の検証、サンプル作成を行う事が出来ておりませんでした。その加工条件の十分な検討が不足していたため、いざ上市となった量産時にトラブルが発生するケースも実際にあり、課題を感じていました。

SDGsの実現、開発スピードを加速するためにラボ/パイロットコーターVCML導入を決定

-ロールtoロールでのパイロットコーター導入を検討するに至った経緯は何ですか?

上記の課題に加え、近年プラスチックの使用削減・CO2排出量の削減は世界的な課題となっており、各業界が環境配慮設計にアプローチした製品を打ち出してきています。このような状況の中、当社においても、さまざまな材料を評価し、新たな機能包材の開発スピードを加速する体制の構築が急務であると考え、R&Dセンターの新設も相まってロールtoロールパイロットコーターの導入検討をはじめました。

 

-なぜVCMLだったのでしょうか?

機械に不慣れな人でも扱える操作性の良さと、温度・圧力・張力などの実機生産を想定した各条件に対応できる事を重視いたしました。

導入に至った決め手は、各業界での導入実績の多さと、コーティングや印刷方式、ラミネートなど、豊富なユニットオプションを選択できる点です。ユニットオプション追加による開発範囲拡張の可能性も考慮できる点が、継続的に活用できる設備であると判断しました。特に、ドライラミネートのテストができるという点は、重要な要素でした。

ラボ/パイロットコーターVCMLは自部門だけでは無く他部門を含め、協力会社とも共有できるツールとしたいと考えております。

導入後、開発リードタイムを大幅に短縮。協力会社との共同開発が強化された

-VCML導入後、実感された効果はありましたか?

課題としていた開発リードタイムの短縮や、生産機でのテスト品作製、作成にかかる材料コストが削減できたことが大きいです。

従来は、自社内の生産実機を用いていたことから試作に時間がかかり、顧客への提案やサンプル提供までに期間を要していましたが、VCML導入後はその期間を大幅に短縮することができました。試作できるフィルム幅300mmという扱いやすいサイズと、数百cc程の少量の材料でテストが可能になった点、多様な塗工に対応できるヘッド交換システムが、検証の手軽さや準備する材料コストの削減に大きく貢献しています。少量の材料で多様な塗工条件を迅速に試せるようになったため、お客様から「この材料でこのような製品を作りたい」といったご要望があった際も、スムーズにサンプル作成ができ、より多くのアイデアを提案できるようになりました。さらに、協力会社様の開発部門と連携した活動の強化につながった事がとても良かったと感じています。

小ロットでの製造が可能となり、フィルムと乾燥剤を一体化した高機能フィルム乾燥剤フリー「吸湿くん®」のラインアップ強化につながる

-ラボ/パイロットコーターVCMLを活用して現在取り組まれていることは?

SDGsを意識したコーティング材料の代替提案、ラミネートフィルム新素材提案とサンプルの提供、協力会社ラミネートサンプルの作製依頼対応、協力会社が提案する新フィルムのラミネート加工検証及び物性評価を行っています。

 

-具体的に商品化したものはありますか?

まだ上市していませんが、当社の乾燥剤フリー吸湿くんの新たなグレードタイプを追加する予定です。

本フィルムはフィルム自体が袋内の湿度を吸収する性能を有しており、フィルムメーカー様との共同開発が必須です。VCMLの導入により小ロットでの製造が可能となった為、処方を数パターン作成することもでき、試作費用・ロス削減も行う事が出来ました。

SDGs環境配慮をテーマにした開発活動の強化と、オープンイノベーションの実現

-VCMLが活躍して大変嬉しく思います。最後に、今後の貴社の展望について教えてください。

ここ数年で当社を取り巻く環境は大きく変わりました。SDGs、環境配慮というキーワードは新規開発テーマに必ず盛り込まなければならなくなり、当社としても今後力を入れて行かなければなりません。当社の機能包材という”価値“をこのキーワードと融合させる為にもさまざまな材料を検討する必要があります。先入観にとらわれず、選択肢を多く持つためにも、VCMLを中心とした開発活動を強化し、お客様をはじめ各協力会社様と共同で様々な課題解決ができるように努めたいと考えています。

導入製品紹介

ラボ/パイロットコーターVCML
ラボ/パイロットコーター VCML
印刷/塗工/ラミネートがヘッドの交換で可能なロールtoロールテストコーター。コンパクトで多様性があり、数百ccの材料で手軽にロールto ロールの印刷、塗工を実現します。
https://www.matsuo-sangyo.co.jp/products/vcml/

お客様プロフィール

会社名:丸東産業株式会社(MARUTO SANGYO CO., LTD.)

設立 :昭和22年3月24日(創業 昭和14年10月1日)

従業員:319名

URL :https://www.marutosangyo.co.jp/