INNOVATION

2022.08.24
SOLUTION
日本の精錬所と海外サプライヤーをつなぐ

【輸入ルート開拓】レアメタルを産出する都市鉱山ビジネス

シェアする

太陽光パネルなど太陽光発電の関連部材を取り扱うエネルギーソリューション事業部。持続可能な開発や環境保全に注目が集まる中、日本はスクラップからレアメタルなどを産出する製錬技術に独自の強みを持っています。海外サプライヤーと製錬所をつなぐ都市鉱山ビジネスについて 阿部さんにお聞きしました。

都市鉱産ビジネスについて

太陽光発電や電気自動車など先進的な環境技術の開発に欠かせない資源であるレアメタル(希少金属)。都市においてゴミとして大量に廃棄されている家電製品の中には、貴金属やレアメタルなどの有用な資源が含まれており、これらを鉱山に見立てて「都市鉱山」と呼んでいます。

2021年に行なわれた東京オリンピック、パラリンピックで授与されたメダルが、この「都市鉱山」から回収された金属で作られたことでも注目を集めました。金属消費量の増大、レアメタルの価格高騰などに伴い、都市鉱山ビジネスは世界的に活況となっています。

そして、これまで複合的な元素に対応可能な製錬所を持たなかった国でも、新たに製錬所をつくる計画が公になるなど、物資を安定的に確保し循環させる仕組みを整える動きが強まっています。

都市鉱山から金属材料を取りだす工程を「製錬」言い、日本は高度な製錬・製造技術を有しており、世界的にみても多くの「製錬所」があります。当社は日本の製錬所との直接窓口を有しており、原材料となる「都市鉱山=スクラップ類」を世界中から納入するお手伝いをしています。

世界の都市鉱山が集まる日本の精錬所_求められるトレーサビリティと透明性

しかし、そういった動きが強まっていても、製錬施設を有する国は世界でもまだまだ少なく、数多いサプライヤーに対し出先が限られている状況です。その中で、日本の製錬所は技術や規模において世界でもトップクラスだと言えるでしょう。世界の都市鉱山の4割が日本に集まってきていると言われています。

世界的に出先が少ないということもありますが、少ない中でも海外サプライヤーが日本に卸したい理由が何点かあると考えています。

そもそも、日本は重工業で経済成長を遂げてきた国であり、元々は鉱石産出国でした。金属を精製する業界において長い歴史があり、創業100年を超える鉱山会社が今でも存在します。長い歴史に支えられた製錬技術を活かし、早いタイミングでスクラップからの金属抽出がスタートしたことで、高い技術力を有するようになりました。

さらに、日本には多数の製錬所があるため出先を選べるという点も大きいと感じます。スクラップは種類により価格が大きく変わるため、知識を持って仕分けし、相性のよい製錬施設に出荷できれば、価値が増大することもあります。

そして、日本の国としての信用性の高さです。スクラップは、モノ自体の信用性は正直高くはありません。元の製品は何であったか、実際にどのような比率でどのようなモノが入っているかというのは見た目だけではよく分からないためです。そのため、ほぼ信用取引に近いという側面があります。この「信用」という部分において、日本は海外から非常に評価があると事業を通して感じています。

持続可能な開発や環境保全に向けた取り組みが各国、各企業で進められている中で、リサイクルへの関心はより高まっています。製造業においても高いレベルでの情報開示、バリューチェーン全体での材料の調達から生産、そして消費または廃棄まで追跡可能な状態にする“トレーサビリティ”の確保が求められています。

スクラップ製品も同様です。むしろ、信用取引に近いからこそ高い透明性が求められています。
逆に言うと、トレーサビリティの確保、情報開示をしっかりとできることは、企業としてサプライヤー自体の企業価値を高めることにもつながります。

当社のサプライヤーでも、日本との取引開始により会社自体の信頼が向上し、仕入れ先の幅がひろがったことから取扱量が3倍に増えた実績があるほどです。

高い技術力を有していること、1つの国で出先の選択肢が多いこと、何よりも取引自体が企業価値向上につながること。これらが日本に都市鉱山が集まる理由ではないかと思います。

海外サプライヤーと日本の精錬所をつなぐ

海外のサプライヤーからの相談は「そもそも製錬所への輸出ルートを持てない」といった声がもっとも多いです。

モノはあっても売り先がないので、ルートを持っている地場の業者に購入してもらい、そこから日本など製錬所のある国に送られている状況です。スクラップ価格はルートを持っている業者が独自で判断するため、本来の価値よりも低い価格で取引をされていたり、言い値での商売になっていることが多く、皆様直接のルート開拓を希望されています。

日本の製錬所としても資源となるスクラップ・廃電子基板類をより多く確保するため、新規サプライヤーとの取引を望まれています。しかし、スクラップは信用が重要となるため、新規参入者との取引はリスクが高く、価格調整や各国のルールに基づく煩雑な手続きなど、ハードルを上げる要因が多くなかなか新規開拓が進んでいない状況です。
双方のニーズはあります。あとはどうリスクテイクし提供価値を高められるかだと感じています。

当社は日本の製錬所と直接取引のルートを多数もっており、海外サプライヤーとの取引をサポートしてきました。商社を通すことで、ハードルを上げている価格交渉や手続きも、市場全体や特色に合わせた実情を持って、全体での調整をかけることができ、サプライヤーに代わり対応いたします。入口、出口双方の選択肢を多様にもつため、つなげる業者の選定、適切なマッチング、交渉事の実現も大きな提供価値ではないでしょうか。

長年商社として製造業に携わってきたネットワークや対応力を活かし、高いレベルでの情報開示、双方へ取引の透明性、トレーサビリティを提供します。

サプライヤーの現場指導も対応しており、仕分けや品質チェック、出先への製錬方法を指定するなど、スクラップ価値を最大化するお手伝いをしています。

「新たに輸出先を開拓したい」「最適な卸先を見つけたい」「仕入れ先へプレゼンスを向上させ取引を広げたい」といった悩みをお持ちのサプライヤー様がいらっしゃれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。