バーコーター(ワイヤーバー、メイヤーバーとも呼ばれる)とは、ステンレスの棒(シャフト)にステンレス製のワイヤーが巻き付けられており、そのワイヤー径を変えることで、簡単に目的のウェット膜厚が塗工できる治具です。
番手とウェット膜厚の関係
バーコーターの番手(No.)はワイヤーの直径で決まります。
※番手はミル(1/1000インチ)単位でのワイヤー直径を表記しています。 1ミル=1/1000インチ≒0.025ミリ
例)No.10:ワイヤー直径0.25mm
また、バーコーターの番手(1/1000インチ=ミル)の2倍がウェット膜厚の目安になります。
例)No.10(10ミル)=ウェット膜厚20μm ※使用の条件により、膜厚は変化します。
バーコーターは、巻かれているワイヤーの径でワイヤー間の隙間が決まることで、インキ、塗工液などのウェット膜厚を再現性良く設定することができます。
ワイヤーの径が細ければワイヤー間の隙間が小さくなり、また、ワイヤーの径が太くなればワイヤー間の隙間が大きくなります。これで塗工された塗工液がレベリング(下図)されることにより、狙ったウェット膜厚で塗工ができます。
ワイヤーバーは、一般的にワイヤーとワイヤーが密接して巻かれています(密接巻き)。
ワイヤー径が太くなるにつれシャフトにうまく巻けなくなることから、厚膜を塗工する場合はワイヤーとワイヤーの隙間を空けて巻くものもあります(ギャップ巻き)。
・少量の材料で、誰でも簡単に素早く塗工ができます。
・番手(ワイヤー径)を変更することで簡単に異なる膜厚の塗工ができます。
・紙、フィルムはもちろん、銅箔やアルミ箔のような金属箔、厚いシート、板のような基材に対して、塗料、
インキ、新規機能性材料、接着剤など様々な材料を様々な基材に塗工できます。
塗料 色合わせ、品質管理(出荷確認、受け入れ確認)、テストピース作成(ex.耐候性試験、密着性試験)
インキ 色合わせ、品質管理(出荷確認、受け入れ確認)、テストピース作成(ex.耐候性試験、密着性試験)
機能性フィルム 光学フィルム、保護フィルム、離型フィルム、静電除去フィルムなどのテストピース作成
電池 電極塗工、セパレーター塗工、ラミネートアルミなどのテストピース作成、ペロブスカイト太陽電池などの各種太陽電池
分離膜 CO2分離膜、水処理膜、水電解膜など
などなど…塗料、インキはもちろんのこと、新規材料開発の場面で活躍しています。
1.バーの手前に塗料を滴下します。
2.全体に均等な力がかかるよう両端を押さえ、回転させずに一定のスピードで手前に引きます。
▼バーコーター使用方法の動画はこちら▼
うまく塗工するためのコツ
・一定の速度で塗工する
左右均等に一定の荷重をかけながら、一定の速度で、一息に塗工することが再現よく塗工するコツです。
一般的に、粘度の高い塗工液の場合は遅い速度で塗工する方がきれいに塗ることができます。
・柔らかいベースを使用する
ベースをガラス板など硬い平坦なところで塗工していませんか?当社ではゴムマットなど柔らかいベースの上での塗工を推奨しています。なぜなら、一定の印圧(荷重)をかけることによりバーと基材とのギャップ、つまり塗工される液量が安定し、再現性の高いウェット膜厚を再現できるからです。
バーコーターの洗浄方法
バーコーターは、目詰まり、傷などがついてしまうと狙った通りの塗工ができません。目詰まりしないよう塗工後すぐに洗浄するか、乾かないようチューブ等に入れた洗浄液に浸けるなどしてください。
バーコーターの使用年数、耐用年数など特に設定はありません。塗工後すぐにきちんと洗浄して、傷がつかないようにすれば長く使用することができます。
松尾産業株式会社 アドバンスドテクノ事業部
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