社会課題
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、政府、自治体、企業が、今まさに真剣に取り組んでいます。脱炭素の取り組みは、日々加速しており、「再生可能エネルギーの活用」、「住宅の省エネルギー化」、「循環資源の活用」が代表的な取り組みとして注目されています。
そういった中、松尾産業(当社)は、産業部門におけるエネルギー使用量の詳細な見える化を実現するべく実証実験を行っています。CO2削減には電力消費量の削減が重要であると当社は捉えています。日本の温室効果ガス排出量は2019年の実績で12億1,300万トンです。その内、エネルギー起源のCO2は84.9%の10億2,900万トンとなっています。更に部門別で見た場合、産業部門で実に38%にあたる3億8,600万トンのCO2を排出しております。
参考:温室効果ガス排出の現状等(経産省) 2022年7月28日 閲覧
「https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ondanka_wg/pdf/003_03_00.pdf」(P.13-14)
日本では「地球温暖化対策の推進に関する法律」(以下、温対法)に基づいて、企業が自発的な温暖化対策を促す仕組みが出来ていますが、他方、国際的なイニチアチブではGHGプロトコルが推奨されています。
GHGプロトコルは「WRI(世界資源研究所)とWBCSD(持続可能な開発の為の世界経済人会議)が共催する団体であり(環境省)」、「各種基準には、海外の政府機関やグローバル企業が参画しており、いずれもデファクトスタンダードとなりつつある。(環境省)」プロトコルです。
GHGプロトコルは温室効果ガスの発生場所をSCOPE1からSCOPE3の3つに分類しています。SCOPE1、及び2は自社の中で把握可能ですが、SCOPE3はサプライチェーン排出量の全体像を把握ができなければなりません。
参考:サプライチェーン排出量の考え方(環境省) 2022年7月28日 閲覧
https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/supply_chain_201711_all.pdf
この様に、産業部門における温室効果ガスの削減を実現するには、一社単独では限界がありますが、いずれ、SCOPE3も含めたサプライチェーン全体での電力消費量の削減が求められると見ています。温対法では、外部から調達した熱に対して排出係数を適用して計算する「ロケーション基準法¹」」や、マーケット規準対応の係数を適用して計算する「マーケット規準手法²」」が存在していますが、いずれの方式であっても、実態の測定値との乖離が懸念されております。