INNOVATION

2026.05.22
COLUMN / ADVANCED TECHNOLOGY

第8回 バーコーターの番手でドライ膜厚はどう変わる?塗布重量・比重との関係を解説

シェアする

番手とドライ膜厚の関係は?

先生、前回でバーコーターは均一に塗れるっていうのは分かったんですが…

バーの番手を変えるとドライ膜厚はどう変わるんですか?塗布重量や比重とも関係があるんですよね?

はるきさん
コートン先生

いい質問だね。

バーコーターの番手を変えると塗布される液の量が変わるから、結果としてドライ膜厚や塗布重量も変化するんだ。

今回は実際に塗ってみてその関係を確認してみようか。

厚塗りした時にレベリングしてワイヤー筋が出にくくなるよう、溶剤を多めにして希釈して塗ってみよう。

やってみます!

はるきさん

実験内容

バーコーターの番手を変更してフィルムに塗工→乾燥→乾燥後膜厚を測定(測定した膜厚からフィルムの膜厚を引く)

測定結果

理論ウェット膜厚とドライ膜厚測定結果

番手(Wet膜厚の理論値)が大きくなるにつれてドライ膜厚も増えているのが分かりますね!

はるきさん
コートン先生

そうだね。バーコーターはワイヤー径によって基材との隙間が決まり、塗布される液量が安定する構造なんだ。

だから番手が大きくなるほど、塗れる量が増えてドライ膜厚も厚くなる。

実測データでも、その相関がはっきり確認できるね。

ドライ膜厚と塗布重量の関係

番手 Wet膜厚
※理論値(µm)
Dry膜厚
(µm)
乾燥塗布重量
(g/㎡)
乾燥密度**
(g/㎡)
No.0 4 0.4 0.9 2.25
No.1 6 0.7 1.4 2.00
No.2 12 1.3 2.7 2.08
No.3 24 2.6 5.3 2.04
No.4 40 4.2 8.9 2.12
No.5 50 5.4 11.1 2.06
No.6 60 6.9 13.6 1.97
No.7 80 8.9 18.2 2.04

※本記事で使用しているバーはメーカー独自の番手体系で、各番手に対応する理論Wet膜厚が設定されています。

**乾燥密度 (g/㎡) = 乾燥塗布重量/乾燥膜厚

ドライ膜厚と塗布重量も比例しているように見えますね。

はるきさん
コートン先生

よく気付いたね。

ドライ膜厚と塗布重量の関係は次の基本式で表せるんだ。

ドライ膜厚と塗布重量の関係式

コートン先生

つまり、同じ材料であれば、塗布重量が増えるほどドライ膜厚も厚くなる。

今回のデータでは、例えばNo.7の塗布重量18.2 g/m²に対してドライ膜厚は8.9 μm。

塗膜の比重(≒乾燥密度)を約2.0 g/cm³とすると計算上も約9 μmとなり、実測値とよく一致しているんだ。

番手を変えることで、塗布重量もドライ膜厚も変化することが分かりました!

理論と実測がちゃんとつながっているんですね。

はるきさん

コートン先生

その通り。ただし、ここで一つ大事な視点があるんだよ。

えっ、まだ何かあるんですか?

はるきさん

コートン先生

実際の塗工現場では、最終的に必要なドライ膜厚を基準に設計することが多いんだけど、

その過程でウェット膜厚も重要な目安として使われることがあるんだよ。

たしかに、今回もウェット80μm狙いで塗りましたよね。

でも、乾燥したら8.9μmまで薄くなっていて不思議でした。

はるきさん
コートン先生

その“ウェット膜厚とドライ膜厚の関係”こそが、塗工設計を理解するうえでとても重要なんだよ。

次回は、ウェット膜厚の考え方を、今回の実例を使って分かりやすく解説していこう。

しっかり理解したいです!

はるきさん

 

活用事例と技術豆知識|松尾産業の先端技術ナビ

「コートン先生の印刷、コーティング入門」の記事一覧はこちらから。
さらに、塗工・印刷技術や開発に役立つ情報もあわせて掲載しています。

次回予告 膜厚設計のカギ!Wet膜厚の考え方をマスターしよう

Wet膜厚からドライ膜厚ってどうやって求めるの?

ドライ膜厚や塗布重量からウェット膜厚を求めることもできる?

固形分の測定方法から、塗布重量・密度を用いたウェット膜厚の計算まで、やさしく解説します。