系統用蓄電池を選ぶポイント
系統用蓄電池を選ぶ際には、5つのポイントを紹介します。
- 蓄電池本体の性能
- 蓄電池を制御するシステムの性能
- 異なるメーカー機器の制御(インテグレート)
- 保守メンテナンス体制
- メーカー自体のクレジット、国内体制
これらの要素を総合的に評価することで、最適な系統用蓄電池を選択できます。以下で詳しくそれぞれを解説します。
蓄電池本体の性能
蓄電池本体の性能は、系統用蓄電池の選定において最も重要な要素の一つです。特に注目すべきは、蓄電容量と定格出力です。系統用蓄電池事業を行う上では、最低でも50kWの定格出力が必要となります。その理由は、卸電力市場「JEPX(日本卸電力取引所)」における最低取引単位が「1コマ30分/50kW」だからです。つまり、「50kW未満」の定格出力の蓄電池では、そもそも系統用蓄電池事業を行うことはできないのです。
50kWの定格出力がある蓄電池であれば、最低取引単価を満たすことはできますが、それでは1コマしか取引できないため、事業を進めるとなると現実的ではありません。実用的には2,000kWh以上の容量が望ましいとされています。
また、充放電効率や寿命も重要な指標です。高効率で長寿命の蓄電池を選ぶことで、長期的な運用コストを抑えることができます。さらに、安全性も考慮に入れる必要があります。耐火性能や類焼防止対策が施されているかどうかを確認し、万が一の事態に備えることが大切です。
蓄電池を制御するシステムの性能
蓄電池を効率的に運用するためには、制御システムの性能が鍵を握ります。特に重要なのが、BMS(Battery Management System)の性能です。BMSは蓄電池の充放電を制御し、安全かつ効率的な運用を可能にするものです。
高性能なBMSは、各セルの電圧や温度を常時モニタリングし、最適な充放電バランスを維持します。これにより、蓄電池の寿命を延ばし、性能を最大限に引き出すことができます。また、電力市場の変動に迅速に対応できる柔軟性も重要です。リアルタイムでのデータ分析や自動制御機能を備えたシステムを選ぶことで、収益性を高めることができます。
異なるメーカー機器の制御(インテグレート)
系統用蓄電池を導入する際、既存の設備や将来的な拡張性を考慮することが重要です。異なるメーカーの機器を効果的に制御(インテグレート)できるシステムを選ぶことで、柔軟な運用が可能になります。
また、エネルギーマネジメントシステム(EMS)との互換性も重要なポイントです。さまざまな機器やシステムを一元管理できるプラットフォームを持つ蓄電池システムを選ぶことで、全体的な効率性と運用の容易さを向上させることができます。
保守メンテナンス体制
系統用蓄電池の長期的な運用には、適切な保守メンテナンス体制が不可欠です。定期的な点検や部品交換、緊急時の対応など、包括的なサポート体制を持つメーカーや施工会社を選ぶことが重要です。
また、予防保全の観点から、遠隔監視システムや予測診断技術を備えたサービスを提供しているかどうかも重要なポイントです。さらに、長期的な部品供給や技術サポートの保証も考慮に入れるべきです。
これらの要素を総合的に評価し、信頼性の高い保守メンテナンス体制を持つ蓄電池システムを選択することで、安定した運用と長期的な収益性を確保できます。
メーカー自体のクレジット、国内体制
系統用蓄電池の選定において、メーカー自体の信頼性と国内サポート体制も重要な判断基準です。まず、メーカーの財務状況や市場での評価(クレジット)を確認することが大切です。安定した経営基盤を持つメーカーを選ぶことで、長期的なサポートや保証を確保できます。
また、国内での販売実績やサービス体制も重要です。日本国内に十分なサポート拠点や技術者を配置しているかどうかを確認しましょう。さらに、日本の電力系統や規制に精通しているかどうかも考慮に入れるべきポイントです。国内の法規制や技術基準に適合した製品を提供し、迅速なアフターサービスが受けられるメーカーを選ぶことで、安心して系統用蓄電池を導入・運用することができます。