既存の市場では特殊品の供給・対応がみつからない某ハウスメーカー
ー B社が松尾産業に相談された課題について教えてください。
石川: B社様は日本の大手ハウスメーカーです。戸建て住宅の施工オプションとして太陽光発電システムの設置を販売されていました。太陽光パネルの生産も自社でされており、ヨーロッパ製の特殊設備を導入して生産強化されていました。
しかし、市場ではセルの大型化が進んでおり、 部材供給先のパートナー企業が生産撤退されてしまいました。
現在の工場では通常汎用品は使用できず、市場でよく知られているメーカーに相談されたようですが、良い回答がもらえず、最悪自社生産の 維持が困難になる問題に直面されていました。
「すでに住宅を発注頂いているお客様にご迷惑をかけることは絶対に避けたい」という想いを強く持たれ、部材調達に奔走されているとの情報を聞きつけ、何とかお役に立てるのではと考えました。
ーいわゆる大手はなぜ対応できないのでしょうか?
世界の太陽光発電市場は非常に堅調な成長をみせており、現在は中国を中心に技術革新が進んでいます。グローバル市場での取引量は非常に旺盛で、大手メーカーでは特殊品は製造コストが合わない。取り扱っている場合も細かい要望には応えてもらえないことも多く、そもそも対応してくれない状況があります。
また、B社様の課題は特殊品の部材供給だけではなく、現行モジュールを制作する設備を自社工場に導入したばかりであり、既存設備を使い、これまでと同様の品質で生産維持を模索されていました。
ー特殊品の対応はサプライヤーにとって厳しい条件が多くいようですね。どのようにして新しい供給先を見つけることができたのでしょうか?
石川:当社はメイン市場である中国以外の国への開拓にも力をいれており、ローカルサプライヤーに強いコネクションをもっています。
B社様の希望する部材を生産できるメーカーは世界でも少なく、且つ特殊技術により、セル単体での対外的な販売は行われていませんでした。そのため、当初はセル単体の販売に難色を示しました。さらに要求サイズが一般的な汎用品ではなく、交渉は困難を極めました。
まずは、サプライヤーにビジネスメリットを訴求することが重要だと考え、B社様の状況をより深く把握するため生産現場に足を運び、技術人員や購買人員との面談を重ねて信頼関係を構築することからはじめました。そして、本ビジネスは将来性が高く、サプライヤーにとっても非常にメリットがある案件であると確信し、根気強くコンタクトを続け提案を繰り返しました。
サプライヤーはアジア地区への販売経験がなく、ファースト面談はドイツの展示会場で行うことになりました。面談では日本市場の重要性、今後のアジア地区の発展などを織り交ぜてプレゼンテーションし、最終的にサプライヤーにも本ビジネスに興味を持って頂くことができ、無事キックオフとなりました。