INNOVATION

2025.07.04
COLUMN / ADVANCED TECHNOLOGY
コートン先生の印刷、コーティング入門 vol.1

ものづくりに使われる印刷とコーティング

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コートン先生の印刷、コーティング入門がスタートしました。
この連載では、私たちの暮らしや製品に欠かせない「印刷」と「コーティング」について、基礎からやさしく学べる内容をお届けします。
印刷・コーティングに関する幅広い基礎知識や、現場で実際に得られた最新の情報、応用事例なども取り上げていく予定です。
それぞれの役割を理解することで、ものづくりの面白さがもっと広がります。
ぜひ一緒に楽しく学んでいきましょう!

キャラクター紹介

はるきさん

日々製造現場や研究室を飛び回りながら、「なぜ?」「どうして?」を口にして先生たちに質問をぶつける、好奇心旺盛でちょっとおっちょこちょいな新人研究者。

コートン先生 

長年、コーティングや印刷技術に携わってきたベテラン技術者。
穏やかな語り口と、理論と現場の両面に精通した深い知識で、若手たちの疑問に丁寧に答える頼れる先生。

ものづくりに使われる印刷とコーティング

コートン先生

はるきさん、今日から「印刷」と「コーティング」について少しずつ学んでいこうか。

はい、正直わからないことだらけなので…よろしくお願いします!

はるきさん
コートン先生

まずは印刷とコーティング、一見似ているけど、何が違うかわかるかな?

うーん。見た目はどちらも“表面に何かをのせる”って感じで、あんまり区別がつかなくて…

はるきさん
コートン先生 印刷とコーティングって、どちらも「表面に材料を塗布する技術」なんだけど、実は目的や使われる素材、それに求められる機能がぜんぜん違うんだよ。
見た目は似てるのに、そんなに違いがあるんですね。 はるきさん

印刷とコーティングの違い

項目 印刷 コーティング
主な目的 視覚情報の表現 機能性の付与・保護
塗布形状 パターン(文字・図形) 均一な面状
材料 インク コーティング剤(機能性樹脂など)
解像度重視 重視する 基本的には不要
代表的用途 書籍、ラベル、電子回路パターン等 光学フィルム、防湿層、接着促進層など

デザインだけじゃない!「印刷」が担う役割

コートン先生

まず「印刷」はね、画像や文字などの情報を付与する技術なんだ。

たとえば本、カタログ、食品のパッケージなんかに、画像や文字を転写して、人に情報を伝えることが目的なんだよ。

デザインだけじゃなくて、ちゃんと意味や内容を伝えるための技術なんですね。

はるきさん
コートン先生

印刷の特徴についても、ちょっと詳しく話しておこうか。

お願いします!

はるきさん
コートン先生

まずひとつ目は「パターンを正確に描ける」ってところだね。

細かい模様や複雑なデザインでも、きれいに表現できるのが印刷の強みなんだよ。

わかります!スーパーとかでパッと目に入るパッケージって、印刷がきれいなものが多い気がします。

はるきさん
コートン先生

次に「多色を使える」こともポイント。

カラフルな印刷物、見たことあるでしょ? いろんなインクを組み合わせて、鮮やかな色合いを作れるんだ。

確かにポスターとか雑誌って、色がすごくきれいでパッと目に入りますよね。

はるきさん
コートン先生

そして三つ目は「解像度や見栄えが重要視される」ってこと。

印刷って、写真や文字を通してメッセージを伝える技術だから、にじんだりズレたりしてると、伝えたいことがうまく届かないんだよ。

へぇー、印刷の精度って、思ってた以上に大事なんですね。 はるきさん
コートン先生

そうなんだ。印刷は私たちの身近なところで幅広く使われているんだよ。

お菓子や食品の包装、シャンプー容器やその詰め替えパックや、ペットボトルのラベル、壁紙、Tシャツのロゴ、家電のスイッチなども印刷が使われているよ。

印刷って“紙の上”だけじゃないんですね。

意識してなかったけど、普段何気なく見てるもの色んなところに印刷が使われているんですね。

はるきさん

モノに特別な機能を与える「コーティング」

コートン先生

一方で「コーティング」は、情報を見せるためじゃなくて、モノに特別な機能を与えるための技術なんだ。

フィルム、紙、金属、セラミックといった素材の表面に、均一な層を形成し、そこへ物理的・化学的な特性を付与することで、素材に新しい機能を加える―それが「コーティング」なんだよ。

機能って、具体的にどんなものがあるんですか?

はるきさん
コートン先生

たとえば、傷防止やサビ防止、UVカットといった「表面保護」。それから、防水・導電・絶縁・接着性などの「機能性」。さらに、光沢やマット仕上げといった「見た目の調整」もできるんだよ。

なるほど、見た目だけじゃなくて、中身もしっかり支える技術なんですね!

はるきさん
コートン先生

コーティングの特徴は大きく3つあるよ。

まず、膜の厚さを均一に保つことがとても重要なんだ。ムラがあると、機能がうまく発揮されないからね。 それから、印刷と違ってパターンを描くことは少なくて、面全体にまんべんなく塗るのが基本。 そして最後に大事なのは、 “どれだけ機能するか”、“どれだけ長持ちするか”といった機能性や耐久性が重視される点だよ。

コーティングって見えないところで働いてる影のヒーローみたいですね!

はるきさん
コートン先生

その表現、いいね!

見せる印刷×守るコーティング

コートン先生

コーティングと印刷は単独で使われるだけじゃなくて、組み合わせて使われていることも多いんだ。

たとえばどんな場面ですか?

はるきさん
コートン先生

たとえば、ペットボトルやシャンプーの容器もそうだね。

外側には商品名やデザインが印刷されていて、それが落ちたりにじんだりしないように、表面に透明なコーティングがされているんだよ。

あっ、なるほど!印刷された情報を守ったり、ツヤを出したりしてるんですね。 はるきさん
コートン先生

そう。ほかにもお菓子のパッケージなんかでは、印刷で中身の写真やロゴを見せつつ、内側には湿気や酸素を防ぐために複数のフィルムを貼り合わせてバリア性を付与しているんだ。その貼り合わせには接着剤をコーティングしているよ。

つまり、“見せる印刷”と“守るコーティング”がセットで使われてるわけだね。

印刷とコーティングって、お互いを引き立て合うコンビなんですね!

はるきさん
コートン先生

その通り。今のものづくりでは、どちらも欠かせない存在なんだよ。

さらに、ロール状の素材に印刷とコーティングを連続して施せるRtoR(ロール・トゥ・ロール)方式という技術も活用されていてね、効率的かつ大量生産にも対応できるんだ。

えっ、両方まとめて加工できるんですか?それってかなり便利ですね! はるきさん
コートン先生

うん。フィルムや電子材料、パッケージ分野では特に活用が進んでいるよ。印刷とコーティングを同時に設計する考え方が、これからますます重要になってくるね。

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次回予告 -簡単に膜を塗るための方法、「簡易塗工試験」-

次回は、「コーティングってどうやって試すの?」をテーマに、簡単に膜を塗るための方法、「簡易塗工試験」についてご紹介します。

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これらを使った手軽な評価方法や使いどころの違いについて、はるきさんと一緒に学んでいきましょう!