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2024.10.31
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【イベントレポート】人と技術をつなぐCONVERTING FESTA Vol.2

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コンバーティングに関わる技術や最新情報を紹介する「CONVERTING FESTA Vol.2」が、2024年9月6日にTKP秋葉原カンファレンスセンターで開催されました。松尾産業と加工技術研究会がタッグを組んだ本イベントは、今回で2回目の開催となります。

「人と技術をつなぐ」をテーマに、環境対応としての紙化やPFAS規制、ペロブスカイト太陽電池など最新のコンバーティング技術に関する講演が行われました。ネットワーキングパーティでは、講師への質問や参加者同士で意見交換が行われるなど交流の輪が広がりました。

本記事では講演を中心に当日の様子をご紹介します。

包装における国内外「紙化」最新動向と周辺技術・インフラ・リサイクルについて

講演のトップは株式会社パックエールの代表の内村元一氏でした。

環境配慮型包装の有識者である内村氏は欧米の規制動向として、欧州の「リサイクルのための包装設計ガイドライン」や各国のラベル表示規制を紹介。これからのものづくりでは、設計段階からリサイクルや再利用を前提にした再資源化(サーキュラーエコノミー)の観点が重要になり、日本企業もリサイクルしやすい包装設計への転換が求められると解説されました。また、プラスチック代替として「紙化」を進めるうえでは紙の性能向上やリサイクルスキームの構築が重要であるとし、各社の最新技術や動向を紹介されました。

エネルギーデバイスのRoll to Roll技術

塗工を中心としたRoll To Roll工程開発を専門されるAndanTECの浜本伸夫氏は、リチウムイオン電池(LiB)とペロブスカイト太陽電池の量産化における課題と展望をRoll To Rollの視点から紹介されました。

大学などのラボレベルではペロブスカイト太陽電池の作成方法はスピンコートが主流であり、これをどうやって大面積化、生産へもっていくためにRoll to Roll塗工に移行するかが課題だと述べられていました。現状のペロブスカイト太陽電池の生産開発ではスロット・ダイが利用されており、塗工後の乾燥工程、ペロブスカイト結晶化工程など課題も多くあり、各企業で様々な研究、開発が行われている事例をご紹介いただきました。

米国の製品含有化学物質の最新動向~PFAS規制の動向を中心に~

海外化学物質規制のエキスパートであるエンバイオメント・ジャパンの玉虫 完次氏は米国に輸出される製品のPFAS規制について講演されました。

PFASは、自然界でほとんど分解されないことから「フォーエバー・ケミカル」と呼ばれる、数千種類に及ぶ有機フッ素化合物の総称です。近年、人体や環境への悪影響が懸念され、米国で大きな課題となっており、PFASに関わるサンプルや製品を作った企業は高い確率で報告書提出を求められるなどの米国の現状を紹介されました。その他の有害物質規制についても紹介いただき、この10年で成型品が含有する化学物質規制が厳しく様変わりしていることを述べられました。

ペロブスカイト太陽電池の最前線

最後に登壇したのは、京都大学発のスタータアップエネコートテクノロジーズのCTO・堀内氏は、同社のペロブスカイト太陽電池の作り方やデバイス構造の一端を紹介されました。

ペロブスカイト太陽電池は晴天時だけでなく、曇り空や室内光でも高い発電能力を有し、フィルムを基材としたフレキシブル性からさまざまな場所に設置が可能です。同社では大面積化としてフィルムデバイスで90cm2サイズ、変換効率18%、耐用年数15年という目標を掲げ研究開発を進めており、屋内や宇宙用途など各企業と実証実験を進めていること紹介されました。

人と技術をつなぐ交流の場

本イベントでは、会場・オンライン合わせて90人以上が集い、参加者は包装材料の紙化や、ペロブスカイト太陽電池など旬の話題をテーマに熱心に耳を傾けていました。また、スポンサー(協和界面科学、大倉工業、松尾産業)は展示ブースとプレゼンテーションの時間が設けられており、自社の取り組みや製品PRを行いました。展示ブースには、講演の合間に多くの参加者が訪れており、製品紹介や実演が行われ交流の場となっていました。

講演後は、別室でネットワークキングパーティが催され、参加者同士の名刺交換や講師への質問など、部屋のあちこちでさまざまな意見交換が行われており、とても盛り上がっていました。

企画協賛に携わった、松尾産業 アドバンスドテクノ事業部の松川は以下のようにコメントしています。

 

「講演終了後のネットワーキング(交流会)は、会場参加のお客様、講演者、関係者を含めて、ほぼすべての方に参加いただいた盛況な会となりました。交流会では講演中では聞けないような質問が飛び交い、談笑が絶えず、活発な情報交換が行われ、参加者の笑顔が印象的でした。本イベントを通し、コロナ禍では実施できなかったリアルでの情報交換の重要性を改めて確信し、このリアルな場所こそ新しい技術、イノベーションが生まれるキッカケをつくれるのではないかと実感できた1日となりました」

 

来年はどのようなコンバーティング技術が紹介され、新しい出会いが生まれるのか大いに期待が高まります。

 

松尾産業について

松尾産業は、自動車部品や国内で高いシェアを誇る光輝顔料を中心に専門性の高い原材料や、研究開発装置などを取扱う商社です。創業より製造業の課題に伴走するとともに、「Connecting the Peaks」を理念として、国内外の隠れた技術や素材を発掘、プレイヤーをつなぎ、新しい知見や製品を紹介してきました。

 

近年、複雑な社会課題に対してオープンイノベーションの重要性が増し、スタートアップ、アカデミア、産業や業界、従来の壁を越えた共創が求められており、商社の「つなげる力」への期待が高まっています。当社でも、新しい技術を探索・連携・育成するなどオープンイノベーションへの取組を加速させています。今後もさまざまな取組を通し、製造業の皆様と共にチーム一丸となって新しい価値を創造に貢献致します。

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